黒田見聞録

黒田ロクの見聞きしたこと、思うこと

くろだ母になるのだ

毎度ロクでもないおはなし。
ブログはじめました。黒田ロクです。下から読んでも上から読んでも黒田ロクです。臨月の妊婦さんです。だんなさんの隠してたポテトチップスを隠れて食べだしたら止まらなくなったわたしです。ぜんぶ食うてもた。あとでコンビニに買いに行かんと。

今回は、こないだの検診のはなし。

 

子宮口、1センチくらい開いてるかな。柔らかくなって、すごくいい状態。このままがんばってこう。
先生がそう言ったとき、お腹の下の方からワァーーーっと嬉しい気持ちが湧いてきて、そのふつふつ沸騰した小さな嬉しさを集めて、バンザーイ!と両手を突き上げたい気持ちになった。まだ産んでもいないのに、せっかちだなあ。陣痛も出産も、これからだよ。
出産間近、臨月。ここのところずうっと調子が悪かった。もっと言えば、妊娠期間中どこかに必ず、なにかしらの堪え難い痛みとか、気持ち悪さとか、しんどさみたいなマイナートラブルがあって、常に末期の病人みたいな状態だった。特に妊娠7ヶ月を超えてからは、最悪の一言に尽きる。調子がいい日、動ける日の方が珍しくて、よく旦那に「あたしゃもう要介護認定だよ」と愚痴をこぼして泣いていた。
臨月に入ると、マイナートラブルは痛みに特化し出して、本気で動けないくらいの激痛と常に同居していた。一歩足を踏み出すと、お腹に激痛が走る。そろそろとまた一歩踏み出す。激痛が走る。
「陣痛でないの?」と疑ってしまうようなその痛み、例えて言うならお腹の中の腸とか胃とかが、ボロゾーキンのようにギュギュギュゥ!!と絞られているみたいなかんじ。腸の端と端を持って、せーの!でひねりあいっこしたら、こんな痛みだろうなあと。わかんないけど、男の人が急所蹴られた時とかこんな感じかもしんない。

それでもがんばらんといけんのが母体、母ちゃんってもんで。痛い痛い!あいたただ!!とか言いながら必死で動いた。ヨガもしたし、スクワットも、ぞうきんがけも。お産にいいと言われることを一生懸命やった。母は強しと言うけどそうじゃない。言ってみりゃヤケクソ。はよ産まれてきてくれ、はよ会いたい。やらなしゃーないならやるで!スポ根や!熱血や!目指せオリンピックや!
ほんと、妊娠出産ってわかりやすく言えば女の子は誰でも「あしたのジョーになれます」 ってことだと思う。けど男の人は大変だよね。みんながみんな丹下さんにはなれないから痛いやら辛いやら泣いたり怒ったりの奥さんの横で、オロオロしてるしかない。よく「男はなにもできへんから」と言うしうちの旦那もそう言うけど、何もできない、自分は無力だということに耐え一緒に居るだんなさんだって大変だよなあと思う。だいたい男なんて、プライドのかたまりなのに。十月十日役立たずと言われてじっと耐えているようなもんだ。
そんな「あしたのジョー期」を経てもいっこうに開く気配のなかった子宮口。それが先生曰く「すごくいい状態」になったのです。うれしくて小躍りしちゃう、初めて世界の舞台に立てる記録を出したアスリートみたいな感じ。このままがんばって記録伸ばしてこう、オリンピックという舞台(つまりは分娩台!)に向けて朝夕のスクワットにも気合が入ります。
とにかく赤ちゃんに、はやく会いたい。

 

今回の妊娠を通じて思ったこと。「一生懸命生きてることって、絶対ウソつかない」。人生についてがんばったことって、必ず報われる。たいへんだったことって、幸せに姿を変えて戻ってくる。ありきたりなんだけど、ほんとそう思う。
ひどく凄惨な家庭に育ったわたし、振り返れば「命があってよかった」と思う場面が一度や二度ではない。不幸だったし、いつまで続くかわからん地獄みたいな状態だったこともある。人生なんてやめちゃいたかった。けど、やめないでがんばってみた。とりあえずがんばろう、とりあえず今日生きとこう。どうにもならないことは仕方ない、けどウソはつかずに、お日さまに顔向けできるようにだけがんばろう。
そうやって生きてきて、だんなさんに出会い。結婚して、子供を授かり。
欲しくて欲しくて、それでもずっと手に入らなかった「あたたかな家庭」ってもの、気がつけばそこの真ん中にわたしがいて、そしてそこにずぅっと居ていいんだよなんて、いま考えても涙が出る。信じられないけど実感もないけど、あたたかさだけはずうっと感じてる。それが家庭ってことだと思う。

 

お日さまに背を向けず、少しずつでも歩き続けていれば、夜は明ける。明けない夜なんて、ないんだ。

 

そう思える日が来るなんてほんとうに奇跡みたいなことだから。世界でいちばん大事で大好きなだんなさんに感謝をして。

赤ちゃんに、はやく会いたいなあ。

そんな妊娠38週、予定日はもうすぐです。